2011年12月
敗血症(血液中毒)の感染時には迅速な検査と判断が大切です。フラウンホーファーIPM(物理計測研究所)は、約20分で結果が出る敗血症検出用バイオチップを開発しました。同時に異なるタンパク質を検出可能で、さらに感染重度や原因などの情報も得ることが出来るタンパク質マーカーを使用しています。
光熱費を減らすための低エネルギー建造物では、外壁の断熱が重要な役割を担っています。フラウンホーファーIVV(プロセス技術・パッケージング研究所)とフラウンホーファーISC(ケイ酸塩研究所)が開発した極薄真空断熱パネルVIPは、プラスチックとアルミコーティングに、フラウンホーファーISC独自開発材料であるORMOCER®を用いたガスや液体を透過させない層を導入したもので、2cmでポリウレタンフォーム15cm分の断熱力を持つため、建物の形状を変えることなく使用することが出来ます。
フラウンホーファーIFF(ファクトリーオペレーション・オートメーション研究所)は、
4cm間隔でクッションフォーム内センサを組み込んだセンサマットを開発しました。
センサ間の電圧の変化によりマットレスやクッションにかかる体圧分布を検出し、エアクッションの位置をアクチュエータで移動させ、体圧分布の最適化を図り、細胞組織の壊死、圧迫潰瘍などを防ぎます。センサパッドは1cmの薄さで、既存のマットレスやクッションと簡単に組みあわせて使用することができます。
フラウンホーファーFHR(高周波物理・レーダー技術研究所)は、78GHzの電磁波を対象物に照射し、非金属で不透明な対象物内の不純物や対象物の内部状態を検知するシステムSAMMIを開発しました。X線を用いるスキャンと違い人体に害がなく、またX線では感知出来ない物質の違いを検出することが出来ます。
フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)は、氷層を持つ直径3.8mのドラムを用いた、ボブスレーと氷の摩擦を正確な計測・シミュレーションするシステムを開発しました。地域それぞれの氷の特徴も忠実に考慮しつつ行われている計算の結果は、2014年の冬季ソチオリンピックでもボブスレーコースの設計に反映されます。
ダニ刺されにより発症するライム病予防には、早期発見および早期治療が大切です。フラウンホーファーIZI(細胞療法・免疫学研究所)は、ボレリア菌に効果的な抗生物質アジスロマイシンのジェルを開発しました。ダニを取り除いた直後に塗布することにより感染を妨げ、発症を予防する効果を期待できます。