リサーチニュース 2011

2011年12月

スピーディーな敗血症検査用バイオチップ

敗血症(血液中毒)の感染時には迅速な検査と判断が大切です。フラウンホーファーIPM(物理計測研究所)は、約20分で結果が出る敗血症検出用バイオチップを開発しました。同時に異なるタンパク質を検出可能で、さらに感染重度や原因などの情報も得ることが出来るタンパク質マーカーを使用しています。

極薄断熱パネルの開発

光熱費を減らすための低エネルギー建造物では、外壁の断熱が重要な役割を担っています。フラウンホーファーIVV(プロセス技術・パッケージング研究所)とフラウンホーファーISC(ケイ酸塩研究所)が開発した極薄真空断熱パネルVIPは、プラスチックとアルミコーティングに、フラウンホーファーISC独自開発材料であるORMOCER®を用いたガスや液体を透過させない層を導入したもので、2cmでポリウレタンフォーム15cm分の断熱力を持つため、建物の形状を変えることなく使用することが出来ます。

体圧を分散させるセンサマット

フラウンホーファーIFF(ファクトリーオペレーション・オートメーション研究所)は、
4cm間隔でクッションフォーム内センサを組み込んだセンサマットを開発しました。
センサ間の電圧の変化によりマットレスやクッションにかかる体圧分布を検出し、エアクッションの位置をアクチュエータで移動させ、体圧分布の最適化を図り、細胞組織の壊死、圧迫潰瘍などを防ぎます。センサパッドは1cmの薄さで、既存のマットレスやクッションと簡単に組みあわせて使用することができます。

ミリ波を用いたスキャンシステム

フラウンホーファーFHR(高周波物理・レーダー技術研究所)は、78GHzの電磁波を対象物に照射し、非金属で不透明な対象物内の不純物や対象物の内部状態を検知するシステムSAMMIを開発しました。X線を用いるスキャンと違い人体に害がなく、またX線では感知出来ない物質の違いを検出することが出来ます。

理想的なボブスレーコースのデザイン

フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)は、氷層を持つ直径3.8mのドラムを用いた、ボブスレーと氷の摩擦を正確な計測・シミュレーションするシステムを開発しました。地域それぞれの氷の特徴も忠実に考慮しつつ行われている計算の結果は、2014年の冬季ソチオリンピックでもボブスレーコースの設計に反映されます。

ダニ刺されの応急処置

ダニ刺されにより発症するライム病予防には、早期発見および早期治療が大切です。フラウンホーファーIZI(細胞療法・免疫学研究所)は、ボレリア菌に効果的な抗生物質アジスロマイシンのジェルを開発しました。ダニを取り除いた直後に塗布することにより感染を妨げ、発症を予防する効果を期待できます。

2011年11月

ハザード検査用蜘蛛型ロボット

フラウンホーファーIPA(生産技術・オートメーション研究所)は、生体工学を基にした、敏速な動きをする軽量蜘蛛型ロボットを開発しました。液圧駆動のベローズにより足をコンピュータ制御し、ジャンプ機能も持たせることができます。また、レーザー焼結や3D印刷技術を用い、堅牢材料と弾性材料を組み合わせながらも低コストでの製造を実現しました。

オンライン光学顕微鏡授業用プラットフォーム

フラウンホーファーIIS(集積システム・デバイス研究所)は、エアランゲン大学医学部生の授業用に、インタラクティブに操作出来るウェブベース光学顕微鏡データバンクを開発しました。データの高解像度を保ちながら伝達データ量を削減させるために、画像をタイルごとに処理するシステムを導入し、システムの速度向上を可能にしました。

材料表面の高度シミュレーション

車のデザインには、素材のリアルなシミュレーションが欠かせません。フラウンホーファーIGD(コンピュータグラフィックス研究所)は、素材表面のシミュレートのためのスキャナシステムを開発しました。一眼レフカメラと複数のLEDライトを用いて高速スキャンする、素材のバーチャルモデルを制作用のHDR-ABTFスキャナと、試料への縞状照射をシフトさせることにより、特殊レンズで30μm精度の3次元表面構造を検出するメゾスキャナとを組み合わせることで、高速かつ安価な高解像度スキャナを実現しました。

魚の穀物由来の餌による農薬汚染を検査するシステム

世界中で魚需要が増えているため、魚の餌に使用されている穀物の栽培に使用されている農薬の影響が懸念されています。フラウンホーファーIME(分子生物学・応用生態学研究所)は、餌に使用される農薬汚染物質の魚体内における集積状態を試験するシステムを開発しました。放射性ラベルされた物質を餌の中に導入し、高感度解析を行います。

大気圧プラズマ処理技術の細胞培養用プラスチックバッグへの応用

大気圧プラズマ処理技術を開発しているフラウンホーファーIST(被膜・表面技術研究所)は、この技術プラスチック袋の内側に施すことにより、細胞培養用の密封容器を製作することに成功しました。滅菌した袋を開けることなく培養液や細胞を注入し、ヒト細胞の付着・培養を観察出来、診断や治療への応用が期待されています。

ガラス局所曲げ加工技術の開発

フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)は、エネルギー効率かつコスト効率のよい、変形可能な型を用いたガラス曲げ加工技術を開発しました。
炉の温度をガラスの融点より少し低く設定し、変形する部分だけに高温蒸気やレーザーを当てるため、歪みが少なくかつ光学的質も保つことが出来ます。さらに従来の方法より6倍速く加工が可能。それぞれの生産過程に対し、コンピュータシミュレーションによりパラメータを最適化することが出来ます。

リサーチニュース2011年11月号

2011年10月

細胞培養の自動化
フラウンホーファーIPA(生産技術・オートメーション研究所)とフラウンホーファーIPM(物理計測技術研究所)、フラウンホーファーFIT(応用情報技術研究所)は、細胞培養の自動化デバイスを開発しました。細胞培養環境に対応させて設計されたロボットと顕微鏡をを制御し、最適な細胞培養を行うことが出来ます。このデバイスは既にマックスプランク研究所へ導入されており、既に各種のタンパク質の解読に利用される予定です。

環境に優しい構造部材
電気自動車の充電スタンドの製造に、フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)は100%再生可能な環境に優しい素材を使用し、エネルギー効率の良い製造技術を適用しました。木材プラスチックのハニカム構造を持つこの素材は、鋼材の代替として使用することが可能です。

不正サイト検出用ソフトウェア
インテリジェントパターン認知技術を用いて、フラウンホーファーIPK(生産システム・デザイン研究所)は画像やビデオシーケンスの分類を自動的に行うソフトウェアを開発しました。顔や皮膚色の認識技術を文章やシーンの解析と組み合わせ、不正サイトの短時間での検出を可能にします。

工場ラインでの変更を容易にするシステム
工場ラインでの変更に伴うコストを最適化するために、フラウンホーファーIOSB(オプトロニクス・システム技術・画像研究所)とフラウンホーファーIPA(生産技術・オートメーション研究所)、フラウンホーファーIPT(生産技術研究所)はコンポーネント間のリンクや生産施設とITシステムのリンクを簡易化出来るシステムを開発しました。

3D内視鏡用マイクロレンズ
フラウンホーファーIMS(マイクロエレクトロニックサーキットシステム研究所)は、医療現場での作業を容易にする、高解像度の3D内視鏡を開発しました。システムにはCMOS画像センサーを用い、画素を構成するセンサーの垂直ライン2本に対して、二つの開口を持つマイクロレンズを設置しています。

排気ガスフィルターの寿命を延長
煤の低温での完全燃焼でフィルターのフィルタリング能力を向上させるため、フラウンホーファーISE(太陽エネルギーシステム研究所)は、酸化触媒と一酸化炭素/水素混合ガスを注入することにより、煤が低温でも燃焼するシステムを開発しました。

 

2011年9月

裸眼3Dテレビシステムの開発
フラウンホーファーHHI(ハインリッヒ・ヘルツ通信技術研究所)の裸眼3Dテレビの開発では、確実な深度情報を得るために4つのカメラを用いて撮像。誤差のあるデータについてはデジタルズームを使い電気信号上で補正するなどの技術で、情報処理の時間を短縮することにも成功しました。

節電ゲーム
再生可能エネルギーを効果的に利用するために、フラウンホーファーIDMT(デジタルメディア技術研究所)とフラウンホーファーAST(システム技術応用センター)は、一般家庭での節電テクニックを学べるオンラインゲームを開発しました。消費者がインタラクティブ3Dゲームのなかで、スマートメーターを使う節電方法などを楽しみながら習得していきます。

植物の疫病を早く安価に検査
フラウンホーファーIME(分子生物学・応用生態学研究所)は、免疫沈降法を用い、ウィルスと結合した磁気粒の磁場を計測することで、植物の疫病を畑で直接・安価に解析可能な技術を開発しました。ワイン用の葡萄のウィルス試験では、ELISA試験の10倍の精度の検出能力を達成しました。

電気自動車用の軽量堅牢なバッテリーケースとその生産プロセスの開発
自動車部品の軽量化に取り組む中、フラウンホーファーICT(化学技術研究所)、フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)、フラウンホーファーLBF(構造耐久性・システム信頼性研究所)とフラウンホーファーEMI(エルンスト・マッハ研究所)は、ファイバー材料を用いた、衝突耐性のあるバッテリーケースを開発。加工行程の平行化により大量生産を可能にしました。

自然物の適応を擬似した部品構造
自然物が時間をかけて構造の最適化を行ってきたように、フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)とフラウンホーファーUMSICHT(環境・安全・エネルギー研究所)は、輪郭にレイヤーを重ねていく新しい構造設計方法を開発しました。数値シミュレーションにより仕様や使用目的に合わせて随時適応させながら構造体を設計。レーザーによるプラスチック加工で成形された実際のモデルでの機械的耐久試験も行いました。軽量かつ堅牢な構造物の設計に役立てます。

ワイヤレスセンサで窓の開閉状態検知
フラウンホーファーIMS(マイクロエレクトロニックサーキットシステム研究所)は、ワイヤレスで窓の開閉状態を検知するセンサを開発しました。センサは部屋内のコントローラから発信される電波により発電するため、電源や電池が不要。センサからコントローラに発信された窓の開閉状態データは、ベースステーションにて管理され、スマートフォンなどで遠隔設定を行うことも出来ます。

2011年8月

RFIDを用いた駐車場課金システム
運転手にも駐車場所有者にも便利な駐車場課金システムをフラウンホーファーIML(物流・ロジスティック研究所)が開発、すでにドイツのいくつかの都市で試験を行っています。フロントガラスに貼付けた薄いトランスポンダは読み取り機からの電磁場による発電により機能するため、バッテリーが不要です。

照明によるデータ伝送
可視光通信(VLC)技術をもとにフラウンホーファーHHI(ハインリッヒ・ヘルツ通信技術研究所)が開発した、天井のLED照明によるデータ伝送技術では、照明を可視限界周波数以上の速さで点滅させることでデータ伝送を行います。高データ速度で損失のないデータ伝送が可能で、無線伝送が困難または不可能な場所、例えば病院などでの応用に向いています。

太陽光発電の出力電流の直接利用プロジェクト
エジプトでのプロジェクトにて、フラウンホーファーISE(太陽エネルギーシステム研究所)は、フレネルレンズを用いた集光太陽光発電(CPV)のみでポンプでの水の汲み上げ、海水の淡水化、灌漑を行うことが出来るシステムを開発しました。出力電流を直接利用するため大容量の蓄電池が不要で、低価格なシステムを実現しています。

滑走路安全モニタシステム
空港の滑走路のわずか数センチの障害物でも大惨事の原因になることがあります。フラウンホーファーFHR(高周波物理・レーダー技術研究所)とフラウンホーファーFKIE(通信・情報処理・人間工学研究所)は、非金属片の検出も可能な、滑走路の継続的モニタを行う耐天候安全システムを開発しました。レーダーセンサ網で検知した滑走路上の障害物の視認を赤外線/光学カメラを用いて行い、全体状況を確認するためのソフトウェアが全データを管理しています。

木材内部の不良検知
フラウンホーファーWKI(ヴィルヘルム・クラウディッツ木材研究所)は、表面からは確認出来ない内部の裂け目、接着不良、層剥離、黒瘤などを検知する技術を開発しました。音極から発する20 kHzの振動により不良部に発生する僅かな熱を、高出力超音波サーモグラフィーを用いて検知します。

ゴリラの「個人」顔認識システム
絶滅の危機に瀕したゴリラの生息状況のモニタリングのために、フラウンホーファーIIS(集積回路研究所)とフラウンホーファーIDMT(デジタルメディア技術研究所)は、「個人」顔認識アルゴリズムを開発しています。現在はチンパンジーでのテストで83%の精度を達成。今後は個人認識の精度向上のために、顔全体だけでなく、顔のパーツを使ったバイオメトリック認識や、ドラミング、威嚇の声などの音声信号の解析なども組み込んでいく予定です。

2011年7月

公共交通機関用ナビゲーションシステム
フラウンホーファーIVI(交通・インフラシステム研究所)の参加する„SMART-WAY“プロジェクトにおいて、携帯電話やスマートフォン用の公共交 通機関用ナビゲーションアプリケーションが開発されています。時刻表だけではない、本当の意味でのナビゲーションを提供するため、運行状況や代替ルートの 検索機能なども組み込まれ、第一次実地試験は2011年9月からドレスデンとトリノで行われる予定です。

ロボットと人間の安全な共同作業のための光バリア
組立工程などでの安全性確保のため、フラウンホーファーIFF(ファクトリーオペレーション・オートメーション研究所)の参加する連邦教育研究省支援によ るプロジェクトViERforESにおいて、ロボットと人間の干渉を防ぐ技術が開発されました。このシステムでは、エリアのマーキングとそのモニタリング を、プロジェクタとカメラを用いて行い、人間がマーキングエリアに進入すると、ロボットが動作を減速、または停止するようになっています。

ギター音の高精度なデジタル録音のための薄膜技術
フラウンホーファーIST(被膜・表面技術研究所)は、ギター演奏動作をデジタル制御信号に変換するセンサを開発しました。非結晶質カーボンとピエゾ抵抗 素子からなる薄膜DiaForce®がテイルピースにコーティングされ、弦の張力の変化を検出。演奏技術を高精度でキャプチャー、プレイバックすることが 出来ます。

エキスパートによる遠隔機器コンサルティング
工場機械の修理/メンテナンスは、構造やシステムの複雑化とともに難しくなってきています。フラウンホーファーFKIE(通信・情報処理・人間工学研究 所)では、遠隔修理/メンテナンス用のシステムを開発しました。カメラを通して機械の位置データを記録し、画像処理ソフトウェアによりカメラ位置を計算。 エキスパートが技師と同じ視点で機械を見ながら、修理/メンテナンスを行うことが出来ます。

車載用周辺環境モニタリングシステムの低生産コスト化
フ ラウンホーファーIZM(信頼性・マイクロインテグレーション研究所)は、Fiatなどの企業と共同で、周辺環境のモニタを行うセンサシステムを開発し ました。このシステムでは霧と暗度を区別することが出来、運転中の安全性を高めます。光導体として光ファイバの代わりにミラーチューブを使用し、光信号伝 達の効率化だけでなく、システムの小型化、生産コスト削減も達成出来るため、従来では難しかった小型車/中型車への搭載も可能になります。

犂先のコーティングによる耕作機の低燃費化
DLCコーティングは、金属の耐応力性、耐歪み性を向上させます。フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)は、耕作機や砕土機の刃にDLCコー ティングを施すことにより、刃部の摩擦を約半分に抑え、燃費を約50%低下させることに成功しました。これにより、作業時間短縮、機械の小型化も期待され ます。

2011年6月

抗生物質の代替となる抗菌性ペプチドの開発
WHOは、抗生物質の多量使用から生ずる耐性菌による被害を懸念し始めています。フラウンホーファーIZI(細胞療法・免疫学研究所)は、抗生物質の代替 として機能する抗菌性ペプチドの開発を行っています。従来の抗生物質より低濃度で有効で、健康な人体の細胞には無害なこのペプチド用い、薬品分野だけでな く、食品業界や機械生産分野での応用をも目指しています。

温度シミュレーション可能な飛行テスト設備
フラウンホーファーIBP(建築物理研究所)の飛行テスト設備では、低圧チャンバーに組み込まれた航空機用熱量計を持つ温度試験ベンチを備え、航空機内外 の様々な環境条件をシミュレート出来るようになっています。急速な温度の変化による電気系統や材料への影響を試験的に調査出来、航空機の電源、空調設備、 照明などの開発に役立てています。

マルチメディアアーカイブ検索機能
ドイツ国営放送ARDのアーカイブ検索機能強化のため、フラウンホーファーIAIS(インテリジェント分析・情報システム研究所)はメタデータや録音媒体 などの情報検索を音声認識から出来るシステムを開発しました。また、各場面に対するコメントをソーシャルメディアでシェアする引用度機能も備わっていま す。

汎用性のあるエンジン組立自動化システム
自動車のエンジン組立は未だに人の手に頼ることの多い部分です。フラウンホーファーIWU(工作機械・変形技術研究所)は、組立工程を自動化し継続的な質 の向上を目指すシステムを開発しました。エンジン組立シークエンスや組立機能情報の保存方法の一般化/標準化により、どのエンジン組立にも応用可能なシス テムです。

ヘルペスの3Dシミュレーション
90%の人間が持つと言われるヘルペスウィルス。フラウンホーファーIGB(境界層・バイオプロセス技術研究所)は、休止状態のヘルペスウィルスも検出で きる3D皮膚モデルの作成に成功しました。神経細胞株の導入により、実際のウィルスの潜伏感染状態を作り出し、in-vivoの状態を正確にシミュレート 可能です。

等方性ドライエッチング設備の新設
フラウンホーファーIMS(マイクロエレクトロニックサーキットシステム研究所)では今年6月からマイクロシステム技術の製造施設がオープンします。高い 選択性も持つ2種類のガスを同時に用いた等方性エッチング設備により、赤外線温度カメラや加速度センサなどのマイクロセンサの商業ベースの生産が容易にな ります。

2011年5月

制御可能なシームレス溶接
超高速カメラシステムの利用により、フラウンホーファーIPM(物理計測技術研究所)は、部分的貫通溶接をリアルタイムで制御することに成功しました。温 度計測カメラによりレーザの貫通度を検出し、底面を無傷の状態に保つことが可能なので、車体溶接などに最適です。

マッチ箱サイズの顕微鏡
フラウンホーファーIOF(応用光学・精密機械研究所)は、マッチ箱サイズの軽量フラットな顕微鏡を開発しました。微小レンズアレイを用い光学距離を 5.3mmに抑え、解像度は5mm。それぞれのレンズチャンネルが同時に画像を記録することが可能なため、一回のショットで広い画像エリアをカバーするこ とが出来ます。

森林モニタリングのためのワイヤレスセンサネットワーク
森林の微小気候モニタリングは、生態系安定のために大切な役割を果たしています。フラウンホーファーIMS(マイクロエレクトロニックサーキットシステム 研究所)は、設置や維持が容易で育林を妨げない、ワイヤレスセンサネットワークによる森林モニタリングシステムを開発しました。ソフトウェアデザインによ りセンサノードの省電力化で、バッテリ交換なしで12ヶ月間モニタリングが可能です。

水供給システム安定化のためのソフトウェア
モンゴルの飲料水不足解決のためのMoMoプロジェクトにおいて、フラウンホーファーAST(システム技術応用センター)は水量と水質を可視化するソフト ウェアを開発しました。水圧測定により配管ネットワークの漏水を感知、また新しい試験用の汚水処理プラントでは分解微生物を高濃度で利用し、気温変動によ る影響の少ない安定した水質を目指しています。

トレーニングデータの最適利用で健康増進を目指すシステム
傷害後のトレーニングプログラムの最適化のために、フラウンホーファーISST(ソフトウェア・システムエンジニアリング研究所)は、トレーニング機器と 療法/診察側を直接結び、患部の可動度や患者の生理的状態全体のデータを共有できるソフトウェアシステムを構築しました。

電気系統の使用容量増加を図るシステム
天候による電気系統の容量低下を改善するために、フラウンホーファーIZM(信頼性・マイクロインテグレーション研究所)とフラウンホーファー ENAS(エレクトロ・ナノシステム研究所)は参加しているASTROSEプロジェクトにおいて、必要に応じて送電線の予備容量を使用するためのシステム を開発しました。シリンダ状センサノード„eGrains“を定間隔で設置し、送電量や送電線のたるみ、気候状況などのデータを中央管理。送電容量の最適 化に加え、たるみによる危険も即座に検出します。

プレス・リリースフラウンホーファーISE:DEMAXパイロットプロジェクト成功

フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ISE)の監督下、分散エネルギーとグリッドマネージメントについての DEMAX(Decentralized Energy and Grid Management with Flexible Energy Rates)パイロットプロジェクトが行われ、成功を収めました。 このパイロットシステムには複数の企業や研究所が参加し、分散エネルギー供給者や商業部門や民間部門がエネルギー市場に参加出来る、インターネットベースのコ ミュニケーションシステムを構築。スマートグリッドのエネルギマネジメントでエネルギー供給と需要に合わせた至適制御し、さらにフレキシブルなエネルギー価格と組み合わせることにより、現在の電力供給状況においての、分散エネルギー供給者のエネルギー市場への参加の可能性を示唆しています。

プレス・リリース

2011年4月

宇宙の塵を検出するレーダーシステム
高周波物理・レーダー技術研究所(FHR)は、欧州宇宙機関ESAが高性能レーダーシステムを発注したスペインの企業Indra Espacioへレシーバーシステム関連の技術を提供しています。迅速な電気的制御が可能なアンテナによる高精度で高感度なシステムを用いて、数万もの宇 宙の塵を測定することが出来ます。

貨物輸送のロードシェアリング
技術・経済数学研究所(ITWM)は大きなシステムで見た運送コスト削減につながる、ソフトウェアプラットフォームを開発しました。輸送注文をする側と受 ける側のオークション形式のリアルタイムのコミュニケーションにより、最適な輸送キャパシティー利用と輸送コストの削減が可能な輸送システムの構築に役立 ちます。

タービン動翼試験施設
風力エネルギー・エネルギーシステム研究所(IWES)の新しいタービン動翼試験施設が2011年6月にオープンします。油圧制御により角度調整可能なマ ウンティングブロックを持ち、最大90mの動翼まで試験可能です。

超音波高速材料試験
非破壊研究所(IZFP)は従来の超音波を用いた材料試験を改良し、超音波のフェイズドアレイを用い、100倍も時間を短縮することができる試験システム を開発しました。特に、宇宙開発や自動車業界などで使用される軽量材料の試験に向いています。

食物腐敗度試験用薄膜フィルムセンサ
モジュール固体技術研究所(EMFT)は生体アミンを色検出可能な薄膜を開発しました。このフィルムはパッケージングへの組み込みも可能で、安価で簡単に 食品鮮度確認をすることが出来ます。

倉庫の棚の安全を強化するシステム
マイクロエレクトロニックサーキットシステム研究所(IMS)は、倉庫の棚構造の安全性を高めるためのシステムを開発しました。棚部材をくるむエアクッ ションの中に組み込まれたワイヤレスセンサネットワークにより、エアクッションの内部圧力を計測管理し、危機予測を可能にしました。

2011年3月

塩粒サイズのカメラ
信頼性・マイクロインテグレーション研究所(IZM)はAwabaとの共同研究で、レンズとセンサーの接続部分の加工工程を簡易化することにより、塩粒サ イズのマイクロカメラを開発しました。医療分野や自動車業界での応用が進められています。

SmartEnergyLab
太陽エネルギーシステム研究所(ISE)の試験研究所SmartEnergyLabでは、多様な発電方法と様々な電気機器を効率的に機能させるための、ス マートエネルギー管理システムを開発し、スマートホームやスマートグリッドなどの解析に役立てています。

自らを補修するプラスチック
環境・安全・エネルギー技術研究所(UMSICHT)は、生ゴムにヒントを得た、自主的補修可能なプラスチックの開発に成功しました。一液型接着剤や静電 力をエラストマーに付加することにより、クラックを自然に塞ぐことが可能です。

電気自動車用リチウムイオンバッテリーの最適化シミュレーション
技 術経済数学研究所(ITWM)は、リチウムイオンバッテリーのそれぞれの構成要素の組み合わせの最適化のためのシミュレーションソフトウェアを開発しまし た。電極の10μmサイズの細孔も可視化出来る解像度で、イオンの反応過程からセル全体までのシミュレーションが可能です。

関節損傷の治癒を確認出来るツール
生産技術・オートメーション研究所(IPA)は、軽量材料を用いた小型センサを包帯に埋め込み、膝関節の動き、回転度、かかる力などを継続的にモニタリン グ出来るシステムを開発しました。膝関節損傷の治癒過程を確認しながら、患者に合わせた治療選択が可能になります。

Galileo Labs
2012年のヨーロッパGNSS Galileoのサービス開始に先立ち、フラウンホーファーでは8つの研究所とフラウンホーファー交通アライアンスが5ヶ所のGalileo Labsにて、様々なGNSSアプリケーションシステムの開発を行っています。

2011年1月

手、目、顔の動きで操作可能なモニターでウィンドウショッピング
フラウンホーファーHHI (ハインリッヒ・ヘルツ通信技術研究所)

プラスチックに二酸化炭素をしみ込ませる技術
フラウンホーファーUMSICHT (環境・安全・エネルギー技術研究所)

火事の火元を探知するラジオメーター
フラウンホーファーFHR (高周波物理・レーダー技術研究所)

室内空気中の有害化学物質の発生を抑える鉱物
フラウンホーファーWKI (ヴィルヘルム・クラウディッツ木材研究所)
フラウンホーファーISC (ケイ酸塩研究所)

運転中でも使える学習ツール
フラウンホーファーFIT (応用情報技術研究所)

ルピナス蛋白質を利用して低脂肪食品を生産
フラウンホーファーIVV (プロセス技術・パッケージング研究所)