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日独の連携強化に向けたフラウンホーファーと産総研が包括研究協力覚書締結

フラウンホーファー研究機構と日本最大規模の公的研究機関である産業技術総合研究所(以下「産総研」)は、2012年7月6日、ドイツのシュトゥットガルトにおいて、包括研究協力覚書を締結しました。今回の覚書締結は、フラウンホーファーと産総研の各研究所間の人材交流および研究における協力の拡大を目的とし、これにより、日独両国の国際競争力の向上と産業科学技術の振興を推進します。

フラウンホーファーと産総研は、それぞれの国内の最大級の研究機関として応用技術開発を担うという点において類似しています。主として産業寄りの応用研究を行うフラウンホーファーに比べ、産総研では基盤寄りの応用研究に重点を置いており、特に材料研究の分野において優れた国際的業績を上げています。

調印式当日には、フラウンホーファーのハンス・ヨルグ・ブリンガー理事長と産総研の野間口有理事長による覚書締結に続き、フラウンホーファーと産総研の新規協力プロジェクトである、フラウンホーファーIPA(生産技術・オートメーション研究所)と産総研健康工学研究部門(関西センター)のEAP(電気活性高分子)分野における研究協力について話し合われました。今後は、太陽光発電、燃料電池、ナノバイオテクノロジー、医療技術、MEMS、光学測定技術、および情報セキュリティーの分野においても、緊密な共同研究を行う計画です。

両研究機関の研究所は、既に長期にわたり交流・連携実績を有しています。例えば、フラウンホーファーHHI(ハインリッヒ・ヘルツ通信技術研究所)と産総研ネットワークフォトニクス研究センターは、2003年以来、超高速フォトニクス技術に関する一連の国際シンポジウムの組織に参加しており、また、高分子アクチュエーター研究におけるフラウンホーファーIPAと産総研関西センターの連携が開始され、記念シンポジウムが2011年11月に開催されました。フラウンホーファーIAF(応用固体物理研究所)およびフラウンホーファーISE(太陽エネルギーシステム研究所)と産総研との人材交流も行われている他、集光型太陽光発電の分野においても、フラウンホーファーISE を含む欧州の主要7機関、産総研太陽光発電工学研究センターを含む日本の主要9機関による共同研究プロジェクトが進行中です。さらに、フラウンホーファーISC(ケイ酸塩研究所)と産総研先進製造プロセス研究部門は、ナノテクノロジー分野におけるハイブリッド新材料の共同研究を行っており、2010年に新規化学プロセスに関する共同シンポジウムを開催しています。

両研究機関の連携強化は、日独両国の関係強化だけでなく、応用研究の実現化にむけたイノベーションの創出にもつながるものです。フラウンホーファーと産総研の補完的協力により双方にとってさらなる大きなメリットが生まれることが期待されます。