誘導接着 - マイクロシステム技術の新しい接着方法

MEMSセンシング&ネットワークシステム展2022 にフラウンホーファーENASが出展

フラウンホーファー・エレクトロ・ナノシステム研究所(ENAS)は、ケムニッツ工科大学および新光電気工業(株)と共同で、マイクロシステム向けの新しい接着技術を開発しています。このチップレベルの誘導接着プロセスは、2022年東京で開催されるMEMSセンシング&ネットワークシステム展で、はじめて発表されます。

© Photo Fraunhofer ENAS
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誘導接合の技術は、これまで主に鋼管や自動車のドアなどマクロサイズの部品にしか使われてきませんでした。フラウンホーファーENASは、ケムニッツ工科大学および日本企業である新光電気工業(株)と共同で、世界初となるマイクロレベルでの誘導接着プロセスを開発中です。その一環として、銀の微粒子を含む焼結性ペーストを使用して、DBC(ダイレクト・ボンド銅)基板上にチップを機械的に面接続する接着プロセスが開発されました。

この技術は幅広いメリットをもたらしますが、特にチップと部品間のヘテロ集積に威力を発揮します。誘導プロセスは、接着パッドなど対象となる構造を極めて急速に加熱し、接着するもう一方の部品をこの局所的な高温状態によって接合します。熱入力は、主に誘導コイル近傍の局所領域に発生し、局所構造の加熱と冷却が極めて急速に行われるため、周辺の構造や部品、さらには基板全体への熱的な影響が著しく軽減されます。

DBC基板へのシリコン・チップの接着プロセスは、すでに銀の焼結性ペーストによるものが成功しています。接着構造に合わせて配置形状を最適化した誘導コイルによる高周波の電磁界が、導電性の銀粒子パッド内に渦電流を発生させます。この電流によって、100 K/sという高い加熱スピードが得られました。わずか5秒で目標温度の300°Cに到達するため、プロセス全体の時間が大幅に短縮されます。

研究では、焼結モジュール、圧力プレート、プロセス監視用の赤外線カメラなどとプロセス・チャンバーからなる実験装置を開発しました。焼結モジュールには、周囲の材料から電気絶縁された、水冷の誘導コイルが含まれます。プロセス監視用の機器により、コイルの電流と動作周波数もリアルタイムで記録します。

これは、特にパワー・エレクトロニクスのアセンブリを製造するメーカーにとって画期的な技術と言えるでしょう。接着プロセスの所要時間が大幅に短縮され、接着部品のすべてに対する熱的影響が著しく軽減されるからです。焼結性銀ペーストによる機械的な接続は、部品の高温の排熱を焼結構造のみを通してすばやく消散させます。新光電気工業は、プロセスを工業的手法として確立する役割を担い、プロジェクト・パートナーであるケムニッツ工科大学とフラウンホーファーENASとの共同開発を継続中です。

1月26日から28日にかけて東京ビッグサイトで開催される見本市「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」では、このプロセスを東北大学とフラウンホーファーENASの共同ブース(ホール2、小間番号2D-05)に展示します。誘導チップ接着に関する論文は、events@enas.fraunhofer.deに送付を依頼することで入手できます(件名:Paper inductive bonding)。

お問い合わせ先:

編集:
Dr. Martina Vogel | フラウンホーファー・エレクトロ・ナノシステム研究所(ENAS) | 電話 +49 371 45001-203 |  Technologie-Campus 3 | 09126 ケムニッツ | ドイツ | www.enas.fraunhofer.de | martina.vogel@enas.fraunhofer.de

担当:
Christian Hofmann | フラウンホーファー・エレクトロ・ナノシステム研究所(ENAS)  | 電話+49 371 45001-496 |  Technologie-Campus 3 | 09126 ケムニッツ | ドイツ | www.enas.fraunhofer.de | christian.hofmann@enas.fraunhofer.de

 

 

 

フラウンホーファー・エレクトロ・ナノシステム研究所(ENAS)は、スマート・システムと、それを各種用途に組み込む研究に従事する専門家集団であり、開発パートナーです。専門に取り組んでいるのは、スマート・システムを構成するために、マイクロ/ナノスケールのセンサーやアクチュエーターを、通信用インターフェイスと自給エネルギー源を備えた電子部品と組み合わせる際の課題を解決し、モノのインターネット(IoT)その他で進むデジタル化を支えることです。ENASは単独部品、製造技術、システム・コンセプト、システム集積化技術を開発し、お客様への技術移転を積極的に推進しています。イノベーションに関するコンサルティングを提供し、お客様のプロジェクトを支援します。アイデア段階から設計を経て、確立されたテクノロジーや最終的な試験を経た試作品に基づく技術開発や実現までをお手伝いします。

 

 

フラウンホーファー・ゲゼルシャフトは、応用研究の分野で世界をリードする研究組織であり、本部はドイツにあります。将来不可欠となる重要な技術を開発するとともに、それらをビジネスや産業で商業利用できるようにすることを重視して、イノベーションを牽引する中心的な役割を果たしています。ドイツを本拠とするフラウンホーファーは、革新的な開発を先導し活性化させる、科学的卓越性の見本と言える存在です。創意に富んだアイデアを生み出し、持続可能な科学とテクノロジー・ソリューションの先鋒として、科学界と産業界に不可欠な基盤を提供するとともに、現在と未来の社会の形成に貢献します。1949年に設立されたフラウンホーファー・ゲゼルシャフトは、現在75の研究所・研究施設を運営しています。29,000名のスタッフの大部分は適切な資質を備えた科学者やエンジニアであり、彼らに投じられる研究予算は年間28億ユーロに達します。このうちの24億ユーロは、委託研究によってまかなわれています。