リサーチニュース&プレスリリース
Fraunhofer Representative Office Japan
ドイツより届いた最近のリサーチニュースおよびプレスリリースをお届けします。リンク先およびPDFファイルは英語になりますので、ご了承ください。
2012年4月
小球噴射によるセラミックの歪み補正 (Fraunhofer IWM)
厳しい使用条件に耐えうるセラミックが金属部品の代替として注目されていますが、薄板状セラミックの製造は加工が困難かつ高価であることが問題です。フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)とフラウンホーファーIPK(物理計測技術研究所)は、製造過程で歪んだ薄板上セラミックの形状を小球噴射で整えるプロセスを開発しました。小球の大きさ、速度、数などのパラメータを、それぞれの材料加工に最適になるよう調整し、板バネや凹面鏡などのプロトタイプ製造や、簡単な形状の部品の連続生産を可能にしました。
総括的安全性の検討コンセプト (Fraunhofer EMI)
フラウンホーファーEMI(エルンスト・マッハ研究所)は、建造物や構造物の総括的安全性を予測するコンセプトを開発しました。荷重やショックの影響を現場で検討するだけではなく、有限要素解析により検討結果の有効性をチェックし、さらには様々な想定シナリオもシミュレーション可能です。トンネルや高層建造物、さらには都市計画への貢献が期待されています。
船舶スクリューの材料検査システム (Fraunhofer ITWM)
フラウンホーファーITWM(技術・経済数学研究所)は、船舶スクリューの内包異物や溶接ミスを検出するための可動型超音波検査システムを開発しました。複雑な部材の非破壊検査が可能で、最厚450mmのアルミニウム青銅製スクリューを10 cm/s の速度でスキャンし、数mmの亀裂を検知することが出来ます。
3D都市計画ツール (Fraunhofer IAO)
フラウンホーファーIAO(労働経済・組織研究所)は、通常2次元的な騒音シミュレーションデータなどを3次元化した都市計画ツールを開発しました。地図上で5mの高さまでの位置を自由に選択した騒音レベルのシミュレーションが可能で、他にも人の流れのシミュレーションや窓の最適配置など、都市・建造物計画への応用が可能です。
非接触発電システム (Fraunhofer IKTS)
フラウンホーファーIKTS(セラミック技術・システム研究所)は、ペースメーカーなどに利用可能な、無配線で電気エネルギーを供給できるシステムを開発しました。ベルトなどに装着可能な小型の体外送信部において回転磁界を発生させることにより、体内の受信部の磁性体が回転し発電します。インプラントや薬の投与量制御デバイスなどに使用可能な非接触エネルギー供給や、建設業界における密閉箇所への電気供給としての応用が期待されています。
電気自動車部品の最適配置の選択 (Fraunhofer IZM)
電気自動車では、周波数変換器からの電磁波干渉のために発生するラジオ波へのノイズが問題になっています。フラウンホーファーIZM(信頼性・マイクロインテグレーション研究所)は、車部品の最適配置によりノイズを低減するためのツールと方法論を確立しました。自動車部品のサイズ、配置、方向、形、シールド性などを考慮しシミュレーションを行い、電磁波の干渉を最小限に抑えるコンセプトを提案します。
2012年3月
植物性の肉代替品の開発
フラウンホーファーIVV(プロセス技術・パッケージング研究所)は、小麦や豆を原料とする植物性の肉代替品を開発しました。食品アレルギー対策として、様々な材料の組み合わせでの製造方法を準備。水と植物タンパクを加熱処理した後ゆっくりと冷却するなどの新しい製法により、実際の肉に近い質感を再現します。
インプラントによる静脈弁
フラウンホーファーIPA(生産技術・オートメーション研究所)は、ポリカーボネートウレタン素材人工静脈弁の自動生産設備を開発しました。ポリカーボネートウレタンの高耐荷力と柔軟性という特徴を生かし、ポリマーのショア硬さを変化させつつ、自由形状を持つ3次元構造を作成します。
群知能の物流への応用
フラウンホーファーIML(物流・ロジスティック研究所)は、群知能により物流ロジスティックを改善するシステムを開発しました。エージェントベースのソフトウェアとMarco Dorigoのアリアルゴリズム、さらにハイブリッドセンサを使用し、分散制御される50台の無人車両Multishuttle Moves®が他の車両と干渉しない目的地までの最短ルートを選択します。
環境に優しい洗剤
フラウンホーファーIGB(境界層・バイオプロセス技術研究所)は、再生可能な資源である菌類やバクテリアからバイオテクノロジー技術を用いて界面活性剤を生成する技術を開発しました。石油から人工生成された界面活性剤に比べ、構造に多様性があるため分解されやすく、毒性も低いことが特徴です。
軽量鉄道車両部品の開発
フラウンホーファーICT(化学技術研究所)は、鋼やアルミの代替材料となるポリウレタンベースのサンドイッチ構造材を開発し、使用条件の厳しい鉄道車両のディーゼルエンジンカバーを試作しました。重量は35%以上軽減され、コスト低減にもつながります。
ワイン発酵酵母検出システム
野生酵母で造られたワインの方が好まれる傾向にありますが、野生酵母の多種多様性がワイン製造時の大きなリスクとなっています。フラウンホーファーIME(分子生物学・応用生態学研究所)は、抗体反応により不適切な酵母の存在を素早く検出出来るハンディタイプの検出システムを開発しました。
2012年2月
自らルートを選択し地図を作製するロボットの開発
人間がアクセスしにくい環境における移動ロボットの活用が進んでいます。フラウンホーファーIOSB (オプトエレクトロニクス・システム技術・画像処理研究所) は独自のアルゴリズムとマルチセンサデータを利用した、データにない地形の自立的認識とマッピングを行う移動ロボットを開発しました。車輪の回転、加速度、外界物との距離認識をセンサデータにより行い、さらにカメラとレーザスキャナによる環境データがマッピング作業をサポートします。
既存のITネットワークを利用した安価なワイヤレスネットワーク
フラウンホーファーFOKUS (オープン通信システム研究所) が開発したワイヤレスバックホールWiBAK技術により、農村地域のIT化が容易になりました。
既存の技術とWiBackルーターの組み合わせにより、維持管理の容易な広範囲での無線システムを安価で構築することが出来ます。
大きな市場や食堂からのゴミから生成したバイオガスをに高圧で圧縮し車の燃料として利用するシステムを、フラウンホーファーIGB (境界層・バイオプロセス技術研究所) が開発しました。ゴミは多種多様な微生物を使い二段階に発酵され、最終的には2/3メタン1/3 CO₂となります。また、マネージメントシステムにより微生物の組み合わせやpHをコントロール出来、安定したガス生産が可能です。
フラウンホーファーIAIS (インテリジェント分析・情報システム研究所)は、„Smart Semantics“技術を用いた、入力語の意味により検索を行うツールを開発しました。学習し、パターン認識するツールは、検索用語や文章の解析を行いホームページを分類することによって、単語のみの検索のような型にはまった結果ではなく、検索用語の意味による検索結果を提供します。
フラウンホーファーUMSICHT (環境・安全・エネルギー技術研究所)では、建物の屋上を有効利用し野菜の近地生産を行うための様々な技術を検討開発しています。ドイツの非住宅建造物の屋根を総計すると12億m²(1200km²)。1/4を野菜栽培に使用した場合、産業排出量の80%に当たる2800万トンのCO₂が吸収されます。また消費者に極めて近い場所での生産となるため、輸送費の削減にもつながります。
フラウンホーファーHHI (ハインリッヒ・ヘルツ通信技術研究所) は、スマートフォンやタブレット使用により拡大するデータ通信量の問題を回避するためのLTE周波数シェアリング技術を開発しました。無線周波数の使用場所を分散的にコントロールするアルゴリズムを用いて複数のプロバイダが周波数や設備をシェアするこのシステムにより、費用の削減だけでなく、カバーエリア間の滑らかな切り替えが見込まれています。
2012年1月
フラウンホーファーIAO(労働経済・組織研究所)は、空を擬似した天井の照明デザインを開発しました。天井のLED照明から30cm下に拡散ホイルを設置し柔らかい光を再現、34560個のLEDを使用した34㎡のバーチャルスカイをプロトタイプとして製作しました。先行研究における雲の動きと集中力との関連性の結果を用いて、新しい職場照明のデザインとして提案しています。
フラウンホーファーEMFT(モジュール固体技術研究所)は、検出用色素を安定的に結合させたナノ粒子を用いてナノセンサを開発しました。ATP検知用の色素を用いて、培養細胞の状態を確認出来ます。同様の技術により酸素濃度や毒性アミンなどの検出も可能で、医療診断分野やバイオテクノロジー、環境解析など幅広い応用が期待出来ます。
作業工程の最適化、効率化は工場における最大の課題です。フラウンホーファーIFF(ファクトリーオペレーション・オートメーション研究所)の開発した、マッチ箱サイズのセンサを埋め込んだ腕抜き型のセンサウェアでは、着用して通常の作業を行うことにより、作業員の動きや位置を正確に検出することが出来ます。組立工程の解析やエルゴノミックな作業場の提供に役立てられます。
フラウンホーファーFIT(応用情報技術研究所)は、センサ・センサノードの組み合わせなどの新技術の消防作業への導入を検討する際に、物理的なプロトタイプを製作する前段階で技術の有効性などを試験することが出来る、段階的シミュレーションの方法とツールを開発しました。
微弱光でのCMOSイメージセンサのリードアウト速度を改善するため、フラウンホーファーIMS(マイクロエレクトロニックサーキットシステム研究所)はLateral Drift-Field Photodetector(LDPD)を開発しました。拡散型検出器に比べ電荷の蓄積を速く行えるため、リードアウト速度が向上、3D—TOFイメージングなどの高速アプリケーションに最適です。また、標準0.35μmのCMOS製造過程に簡単な変更を加えるだけで加工が可能なため、既存の製造設備を使用することができます。
食品のパッケージングでは、酸素、湿度や化学および生物物質汚染から内容物を守るバリアとして、現状ではエチレンビニルアルコールなどの石油化学製品が使われていることがほとんどです。フラウンホーファーIVV(プロセス技術・パッケージング研究所)は、乳精タンパク膜を用いた薄膜バリア層を開発。持続性のある材料で、Roll to roll 方式で経済効率よく生産可能で、環境にも優しいバリアを実現しました。
2011年12月
敗血症(血液中毒)の感染時には迅速な検査と判断が大切です。フラウンホーファーIPM(物理計測研究所)は、約20分で結果が出る敗血症検出用バイオチップを開発しました。同時に異なるタンパク質を検出可能で、さらに感染重度や原因などの情報も得ることが出来るタンパク質マーカーを使用しています。
光熱費を減らすための低エネルギー建造物では、外壁の断熱が重要な役割を担っています。フラウンホーファーIVV(プロセス技術・パッケージング研究所)とフラウンホーファーISC(ケイ酸塩研究所)が開発した極薄真空断熱パネルVIPは、プラスチックとアルミコーティングに、フラウンホーファーISC独自開発材料であるORMOCER®を用いたガスや液体を透過させない層を導入したもので、2cmでポリウレタンフォーム15cm分の断熱力を持つため、建物の形状を変えることなく使用することが出来ます。
フラウンホーファーIFF(ファクトリーオペレーション・オートメーション研究所)は、
4cm間隔でクッションフォーム内センサを組み込んだセンサマットを開発しました。
センサ間の電圧の変化によりマットレスやクッションにかかる体圧分布を検出し、エアクッションの位置をアクチュエータで移動させ、体圧分布の最適化を図り、細胞組織の壊死、圧迫潰瘍などを防ぎます。センサパッドは1cmの薄さで、既存のマットレスやクッションと簡単に組みあわせて使用することができます。
フラウンホーファーFHR(高周波物理・レーダー技術研究所)は、78GHzの電磁波を対象物に照射し、非金属で不透明な対象物内の不純物や対象物の内部状態を検知するシステムSAMMIを開発しました。X線を用いるスキャンと違い人体に害がなく、またX線では感知出来ない物質の違いを検出することが出来ます。
フラウンホーファーIWM(材料メカニズム研究所)は、氷層を持つ直径3.8mのドラムを用いた、ボブスレーと氷の摩擦を正確な計測・シミュレーションするシステムを開発しました。地域それぞれの氷の特徴も忠実に考慮しつつ行われている計算の結果は、2014年の冬季ソチオリンピックでもボブスレーコースの設計に反映されます。
ダニ刺されにより発症するライム病予防には、早期発見および早期治療が大切です。フラウンホーファーIZI(細胞療法・免疫学研究所)は、ボレリア菌に効果的な抗生物質アジスロマイシンのジェルを開発しました。ダニを取り除いた直後に塗布することにより感染を妨げ、発症を予防する効果を期待できます。

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